暖機運転と慣らし運転のメリット

暖機運転と慣らし運転のメリット

バイクの管理法として、暖気をするかどうかということで意見が分かれます。
往年のベテランライダーなどは、最初に暖気をしないと内部の部品が温まらないうちに急激な摩擦が起こるのでバイクの寿命が短くなると説明する人もいます。

一方で、現在のバイクはキャブレターではなくインジェクションシステムが使用されていることから、暖気をすることはむしろ燃費性能を落とし停車中に余計なCO2を発生させることになってしまうという意見も聞かれています。

賛否両論のあるバイクの暖気ですが、結論から言うと「基本的には必要ない」というのが今現在の常識のようです。
そもそもとしてなぜ暖気が昔必要であったかというと、キャブレターの場合、エンジンが起動されてから燃料がエンジン部に送られ、そこで爆発しやすい霧状に生成されるまで少し時間がかかっていたからです。

しかし燃料の供給が電子機器によって自動的に行われるようになっているインジェクションシステムにおいてはそうしたタイムラグはなく、エンジンをスタートさせた直後からきちんとエンジンルームにガソリンが供給されます。

ですのでエンジンをスタートさせてすぐにバイクを発進させたとしても、走行中に何らかの不具合を感じるということはありません。

では逆にバイクに暖気は全く必要ないのかというとそういうわけではありません。
というのもエンジンの起動や走行については問題がなくても、クラッチやブレーキ、タイヤといったパーツ類が冷えたままになっているとどうしても硬直により摩耗が激しくなってしまうからです。

夏場など金属類が極端に冷える環境ではない時にはそれほど気にしなくてもよいかもしれませんが、冷え込みの強い朝や数ヶ月冬眠させていたバイクを急に動かす時などはいきなり発進させずにしばらく暖気をした方がよいと言えます。

暖機運転と慣らし運転のやり方

インジェクションが導入されているバイクにおける暖気の最大の目的は、金属の熱膨張の調節です。
バイクの部品に使用されているスチール類は、高温になると面積が少し大きくなる「熱膨張」という性質を持っています。

ですので冷えて縮小されている金属を急激に動かすと、熱により急にサイズが変化してくるのでそれが余計な摩擦の原因になってしまいます。

またタイヤ部分についても同様で、走行によって路面との摩擦が起こるとゴムが全体的に柔らかくなりグリップがききやすくなります。

暖気をする場合には長時間放置をするのではなく、走り始めた時にゆっくり部品を温めるように慎重に運転するという方法にするのがおすすめとなります。
5~10分を超えるような長時間のアイドリングはむしろバイクの部品を傷めるという意見もあります。