ツーリング好きは覚えていて損はない「押しがけ」とは

エンジンスターターが作動しない場合に行う「押しがけ」とは

ここ近年のバイク全体の傾向として、制御機器類を電装化するということがあります。
電装部は古いバイクの場合ライトなどの灯火類が中心でしたが、現在ではFI(フューエルインジェクションシステム)のように内部の作動を電装部のコンピュータによって行うようになっています。

電装化されたパーツの一つがスターターで、現在市販されているバイクのほとんどがハンドルに設置されているスターターボタンを押すことによりエンジンが起動するしくみとなっています。

便利な電装化ではありますが、部分的に不具合が生じたときに対応方法がわからなくなってしまうという問題があります。
ツーリング中にバッテリーあがりなど電力の不足が起こってしまった時にはスターターボタンを押しても反応しないということが起こります。

バイクの電装部の構造は、バッテリーに電力を蓄電しそこでスターターや灯火類などの電力を供給します。
そこで消費された電力はエンジンを起動することで自動的に充電されるようになっているので、一旦エンジンがかかれば走行を続けることができます。
しかしそもそもスターターを起動するための電力がなければエンジンが動き出しませんので、そこからバイクの走行を続けていくことができません。

そこで「押しがけ」というスターターを使わずに強制的にエンジンを起動させる方法があります。
「押しがけ」というのは文字通りバイクを手動で押しながらエンジンの起動を促すという方法で、勢いをつけてエンジンを動かすことで起動のための電力が不足しているときに大変便利です。

押しがけを1人でする場合の方法

まず一人で押しがけをする時には、停車をした状態からギアを1または2速に入れます。
その状態でクラッチを切りながらバイクを前後に軽く揺らすようにして押していきます。
しばらくしたら今度は同じようにクラッチを切りながら前方に向かって歩いて押すようにし、ある程度スピードが乗ってきたらクラッチを一気につないでバイクに乗ります。

これにより少し前に進むことができると自然にエンジンが起動するので、そのまま停車をしないようにしばらくアイドリングを続けていくようにしましょう。

2人の人手がある場合の方法

ツーリング中で別の人から手を貸してもらえるなら一緒に押しがけをするということもできます。
その場合ライダーはあらかじめバイクにまたがってギアを2速に入れた状態でクラッチを切ります。

もう一人はバイクの後ろ側から押してあげるようにして、バイクに勢いをつけて前に進ませます。
ある程度スピードが乗ってきたらライダー側はスロットルを開きながらクラッチを繋ぐことでエンジンが自然にかかるのを促すことができます。